脳とラムネ

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自由がすばらしい人間を形成するわけではないということを深山雅也はその身を持って証明していた。大学進学と共に上京てきて一人暮らし、バイトとサークルとゼミに精を出して毎日を送るというありきたりな大学生活。二年生になってようやく一人暮らしや大学生活にも慣れ、傍目に見れば完全に自由な生活を送っていた。にもかかわらず、彼にとって日々の生活は束縛の多く退屈なものであった。単位のために取る興味のない授業、コンビニの時給1000円のバイト、一人にならないために時々参加するサークル、大体そんなものが中心で世界が回っていたからである。

「これからお昼?」
混むのを避けて2限目を早めに抜け出して昼食をとろうと学食に向かっていた所で稲内紗希に声をかけられた。
「よかったら一緒に食べない?私もこれからちょっと早めのお昼なの。お昼休みに私たちの班の話し合いがあるんだ。」
稲内は深山と同じゼミで、サークルも一緒という関係であったが、だからといって特別仲がいいというわけでも無く、校内で会えば話すといった仲であった。二人で昼食ということは今まで数えるほどしかなかったが、だからといって取り立てて珍しいものでもない。
「今週は稲内さんの班が発表だっけ。」
「そうそう、今週は木曜日の発表まで毎日お昼は図書館に集合して話し合いすることになってるの。明日は2限も3限もあるからお昼どうしようかなぁって。」
「へぇ真面目だなぁ。僕らの班は各々で適当に調べて当日に内容合わせたくらいだったのに。」
「うちの班は蒲田君が気合い入ってるからねぇ。ところで先週のあれ見た?」
「カラコンのこと?見たよ。」
「ホントに!やっぱりカラシがかっこよくてさぁ。それに意外な展開だったよね。」
カラコンとは『カラシのコンデンサ』という深夜アニメで、主人公のカラシがインターネット上に自然発生した知性体、「マザー」と戦うというストーリーである。そういってしまえばよくあるストーリーだがインターネットを題材にしているにもかかわらず、主人公のカラシはパソコンをまったく使用せず、足でマザーが隠れているパソコンやサーバーを探し出して、物理的にマシンを破壊してマザーを倒すという展開が斬新だと話題になっているのである。
「今まで個人宅のパソコンや小さな会社のサーバーだったけどここに来て大企業のサーバーを壊して日本経済に影響与えていたからね。ホント意外な展開だよ。」
「2クールで終わりだからあと7話かぁ。早く続きが見たいけど終わっちゃうんだよね。私ホントにカラシが大好きだから2クールじゃたりないよ。」
深山雅也にとっての現在の唯一の幸福がここにある。端的に言ってしまえば深山雅也は稲内紗希が好きなのである。稲内紗希には『彼氏』がいる。だが、深山雅也はそのことを気にしていない。以前飲み会のときに稲内から『彼氏』にはオタクなのがばれるのが恥ずかしくてそういう話ができないけど、深山君とはそういう話ができるからうれしいと言われたからである。なぜ彼氏とはアニメの話ができず、深山とはできるか、少し考えればわかる話だが、深山はその発言で『彼氏』よりも稲内に近づいていると思い込めたのだ。
「じゃあまたゼミでね。」
「話し合い頑張ってね。またゼミで。」
たったの25分とカレーの味しかしないカレー。深山雅也にとっては当面の生きる目的になりうる昼食だった。
  1. 2013/06/18(火) |
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